くい丸の性能試験 吉川商工

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くい丸の性能試験

杭の性能において、打ち込んだ杭がどれだけの強度を持つかということと
打ち込み時にどれだけ壊れにくいかという2つの性能が特に重要です。
くい丸は、それぞれの性能を評価する為の頭部強度試験と鉛直支持力性能試験の
2つの試験において、優れた結果を示しました。
これらの試験結果から、例えば仮囲いの杭にくい丸を使用した場合
足場管の約2.5倍の支持力を持つことがわかりました。
くい丸の性能試験

鉛直支持力性能試験(2011年)
■試験指導
関西大学環境都市工学部建築学科伊藤敦志准教授(博士(工学))
■試験者
㈱千代田基礎調査技術
■実施時期
2010年12月~2011年3月
■試験の概要
くい丸の引き抜き時および押込み時の支持力性能を確認することを目的として
くい丸及び単管の鉛直載荷試験を実施した。
試験は平成22年12月から平成23年3月の期間に地盤工学会基準
「杭の鉛直載荷試験方法・同解説」(2002)に準じて実施した。
■地盤調査方法
地盤の調査は、土の硬軟や締まり具合を調べるスウェーデン式サウディング試験
(SWS試験)により行った。
■試験体
・くい丸48.6mm 埋め込み長2.0m
・くい丸48.6mm 埋め込み長1.0m
・単管48.6mm 埋め込み長2.0m
・単管48.6mm 埋め込み長1.0m
試験には、3つの地点に上記各4本の杭を打ち込んだ合計12本の杭を使用した。
打ち込みには、鉛直方向に固定するためのガイドパイプと電動ブレーカーを使用した。
■試験方法
初期に1~2kNを積荷し、状況により適宜調整していく連続載荷をそれぞれの試験体に
対して行い、押込み方向と引抜き方向の抵抗力を調べた。
極限抵抗力は、鉛直方向への杭の支持力を表しており、杭に鉛直方向の荷重をかけたときに
杭の先端の変位置が杭径の10%を超えない範囲の最大荷重の事を指す。数値が高ければ
杭の鉛直方向への支持力が高いということを示す。杭の鉛直方向への支持力は、引抜き方向へは
摩擦抵抗、押込み方向へは先端抵抗と摩擦抵抗の組み合わせにより決まる。
本試験では摩擦抵抗と先端抵抗は極限抵抗力からの概算で求めている。杭の周囲の地盤の
N値は、SWS試験により調べたN値のそれぞれの平均である。
■試験結果
全試験の極限抵抗力を下図に示す。極限抵抗力は試験位置によりばらつきがあるものの
引抜きと押込みの全ての試験において、単管よりくい丸の方が大きくなっている。
引抜き試験の結果を見ると、くい丸は足場管の概ね2倍(平均2.59倍)の支持力を
示した。これは、くい丸は先端が円錐状になっているため、打設時に地盤の乱れが少ないのに
対して、単管は軸部径の開端となっているため打設時に地盤の乱れが大きかったためと推測される。
また、押込み試験では、くい丸は足場管の平均2.76倍の支持力を示している。押込み試験
の極限抵抗の比率にはばらつきが見られるが、押込み試験における抵抗力は周面抵抗と先端抵抗を
合わせたもので、地盤の特性が複雑に関係するためだと考えられる。
くい丸の性能試験1
■まとめ
くい丸及び単管についての鉛直載荷試験を実施することにより、引抜き及び押込みの
両方向ともに、くい丸の支持力性能の優位性が確認された。これは、くい丸の先端が
円錐状となっているため、単管に比べて打設時の周辺地盤の乱れが少ないためと推察された。
くい丸の性能試験2

くい丸頭部強度試験(2005年)
くい丸頭部試験 くい丸頭部試験1
■試験者
㈱ 日鐵テクノリサーチ
■実施時期
2005年10月
■試験体・試験条件
・くい丸42.7x1000L
頭部の強度を判断するため、くい丸頭部を残して長さ500Lに切断したものを使用した。
■試験方法
[試験1]
落重試験機を使用して、高さ0.5mから5kgのおもりを100回
15kgのおもりを20回の試験を実施した。
[試験2]
試験1で割れが発生しなかったので更に5kgのおもりで900回の試験を実施した。
試験1とあわせて、合計1,020回のくい打ち試験を行ったことになる。
■試験方法の根拠
m₁gh=(1/2)m₂V₂²
ただし
m₁:おもりの重さkgf g:重力加速度9.8m/s² h:落下高さm
m₂:ハンマーの重さ1.5kgf V₂:ハンマーの衝突時の速度m/s
ハンマーの衝突時の速度V₂は人によって異なるが、今回は4m/sで計算した。
m₁h=(1/2)m₂ V₂²/g
1.47kgm
ここで、h=0.5mとすると、m₁=2.9kgとなる。よって、おもりは5kgfとしたが
15kgfでも実施した。ちなみにh=0.5mであると、衝突時の速度は3.1m/sとなる。
■試験結果
試験結果は下表のとおり。
トータルではおもり5kg、高さ0.5mで1000回、おもり15kg
高さ0.5mで20回の試験を行ったことになるが、割れは発生しなかった。

  おもり
(kgf)
高さ
(m)
回数
(回)
結果
試験1 0.5 100 割れ無し
試験1 15 0.5 20 割れ無し
試験2 0.5 900 割れ無し

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