キャスターの選び方
ハンマーキャスター
キャスターの選定にあたって
(1) 総荷重に応じて選ぶ
★ 積載する総荷重を想定し、偏荷重や多少の衝撃等を考慮して余裕をみて選びます。
総荷重の限度=1個あたりの許容荷重x4x0.8
(例)
許容荷重1個25danのキャスターの場合は、25x4x0.8=80dan(約80Kg)となります。
概算で1dan=約1kgです。
従い、使い慣れているKgで大まかに想定すると約80kgになります。
このように車輪を4個付けた場合は、4個の車輪の合計の許容荷重の
80%が使用荷重と考えれば良いかと思います。
(厳密にはdanとKgの関係はもっと複雑です)
(2) 取付けタイプを選ぶ
取付けタイプには、平付プレートタイプ、ネジ込みタイプ、差込みボスタイプ
差込みプラグタイプ、差込みステムタイプ、木製差込みステムタイプが有ります。
一般的には、平付プレートタイプ、ネジ込みタイプが最も多く使用されています。
平付プレートタイプは、躯体にボルトで止めるタイプで、ネジ込みタイプは
躯体にあるネジ穴に差込み、ナットで止めるタイプ、また、差込みステムタイプは
躯体にソケットと呼ばれる受け具を取付け、これにキャスターをはめ込みます。
ハンマーキャスターの選び方
平付プレートタイプ | ネジ込みタイプ |
4ヵ所の取付け穴を利用してボルトで止めます。 また、プレートを躯体に溶接することもできます。 |
躯体のネジ穴に差し込みナットで 止めます。 |
差込みボスタイプ | 差込みプラグタイプ |
スチールパイプに差し込んで取り付けます。 | パイプに差込み、プラグ部を固定して取り付けます。 |
差込みステムタイプ | 木製差込みステムタイプ |
ソケットを併用して取り付けます。 | 木製家具などに、ソケットを併用して取り付けます。 |
(3)自在車(旋回タイプ)と固定車
タイプにより自在車と固定車が有ります。
4輪すべて自在車を選ぶことも、2輪を自在、2輪を固定にすることも可能です。
また組み合わせの中にストッパー付きを入れることも出来ます。
同系統の製品であれば、自在、固定、ストッパー付の取付け高さは
同じです。躯体の用途により組み合わせてください。
(4)車輪の種類とサイズを決める。
一般的には、車輪サイズが大きいほど転がり抵抗が少なく、移動がスムーズで
走行面の凸凹にも耐えます。
特に高さ等の制約がなければ大きな車輪を選ぶ方が使いやすいでしょう。
コンパクト設計と称されるタイプのものは、特に機械関係の下に用いられるため
相当の荷重に耐えられ、汎用タイプに比べて取付高が低くなっています。
車輪の素材に付いては、大きく分けて弾性のある素材と剛性のある素材に
分けられます。
弾性のある素材の代表的なものは、ゴム車輪です。他に、ウレタン、エラストマーがあります。
剛性のある素材としては、ナイロン、MCナイロン、イモノ、フェノールなどが
あげられます。
弾性のある素材
素材 | 特徴 |
ゴム |
圧縮永久歪みが小さく、反撥弾性があります。凹凸のある路面でも滑らかな使用感が得られ、 車輪材・タイヤ材として最も一般的に使用されています。 しかし油類・薬品類に弱く、長期間のうちに硬化・劣化していきます。 摩耗粉が擦れ付いて床面を汚す場合があり、ゴム材に練りこまれた薬品と床材が化学反応を起して変色する可能性があります。 油類・薬品類に比較的強い特別な配合のゴム材もあり、用途により使い分けられます。 |
ウレタン (熱可塑) |
耐摩耗性・耐油性に優れ、床面汚染の心配がないなどゴム車の幾つかの欠点を補いながらも多少の弾性を有します。 また引き裂き強度が強く、接地面が欠けにくいのも利点です。 主にタイヤ部の部材として用い、 ナイロン材のホイル芯に射出成型にて接合していますが、他材との接着させるのが難しい材料とされています。 |
ウレタン (熱硬化) |
熱可塑性と同様に耐摩耗性・耐油性に優れ、床面汚染の心配がないなどゴム車の幾つかの欠点を補いながらも弾性を有します。 主にタイヤ部として用い、鋼板・鋳物をホイル芯として注型により成型するためより柔らかい硬度のものが得られます。 悪環境でのハードな使用にも耐えられるため、重量用車輪として用いられます。 |
エラストマー (オレフィン系) |
ゴム同様に圧縮永久歪みが小さく、高い反撥弾性を持ちながらも耐熱老化性・耐候性・耐油性・耐薬品性など主だったゴムの 欠点を補っており、汚染の心配もありません。 オレフィン系エラストマーと呼ばれ、キャスターの車輪として用いられるように なったのは比較的新しい素材です。 ナイロンとの接着性も良いので、ナイロン材のホイル芯に射出成型にて接着します。 |
剛性のある素材
素材 | 特徴 |
ナイロン |
油類・薬品類に強く、機械的強度に優れ床面を汚す心配もありませんが、弾性がないため路面の凹凸による振動音が発生します。 ただし硬いという点は歪まないという特性となり、重たいものも軽く運べるという利点にも繋がります。 車輪材・ホイル芯材として用いられます。多少の音なら気にならない場合、床が平滑な場合にはナイロン車が最適です。 |
MCナイロン |
ナイロン同様に油類・薬品類に強く、注型ナイロンのため機械的強度は更に優れています。
耐熱性や耐磨耗性にも優れているため、 金属に代わる機能性材料として幅広いニーズに対応できます。 使用状況としてはナイロンと類似していますが、壊れにくくて丈夫で長持ちという評価を得ています。 |
イモノ |
機械的強度に優れ、古くからゴム車と共に用いられました。
しかし錆に弱く自重が重くて扱いにくいため、 近年は強度に優れたナイロン車が代用されます。 硬度が高いためナイロンと同様に路面の凹凸により走行音が生じますが、 熱に強い・衝撃に強いなどナイロンでは代替できない特性があり、高熱の炉内での使用など特殊な分野で利用されています。 |
フェノール |
機械的強度に優れ、古くからゴム車・イモノ車と共に用いられました。
しかし近年はイモノと同様にナイロン車が代用されます。 硬度が高いため路面の凹凸により走行音が生じます。しかしイモノにはやや劣りますが熱に強い特性があり、 イモノに比して遥かに軽く錆の心配もありません。 やや高熱の炉内での使用など特殊な分野で利用されています。 |
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